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Expert

~各界の開拓者より~

楠 潤一郎

元全日本ラテンチャンピオン

公益社団法人日本ダンス議会(JDC)会長

楠 潤一郎ダンスアカデミー主催

www006.upp.so-net.ne.jp/jhdance

勝つためだけの踊りには興味がない

 

 

僕が恵まれていたのは、競技ダンスを始めた早い時期から

 

世界のトップコーチャーに触れられた事ですね

 

当時、永井文雄先生がWalter Lairdにすごく傾倒していて、

 

Lairdが来日するとまだ二十歳くらいで訳がわからないまま

 

レッスンを受けさせられて、まだ海外に行ってなかったのですが

 

その後Espen Salberg,Alan fletcher,Michael Stylianos,

 

Peter Maxellのレッスンを受けて

 

だんだん本物のダンスを踊りたいと思うようになってきて、、

 

 

ウォーリーのレッスンでいちばん印象深かったのは

 

やっぱりゴットハンドです

 

女性がいいようになる、女性も知らないうちに動かされる

 

知らないうちにバランスを整えられてしまう、、、

 

そしていつもMan&Womanでなければいけないと、、

 

まだ二十歳そこそこだったのでそれは全然子供だと言われたりして

 

大人の男はこうするんだ!って

 

よ~く指導されたのは覚えています(笑)

 

でもすぐにはウォーリーの言うことすべてはこなしきれない、こなしきれないからさまにならない、

 

板につかないというかそこまで深く表現できないというか、でもウォーリーのテクニックは本物だから

 

そこの高みを目指すんだ!

 

と言うのはあったからなんとか打開しようとして、そこでエスパンが今自分たちに出来る事と

 

自分たちが感じられる事、というのを引き出してくれて、ウォーリーの本物のテクニックと

 

自分たちの持っているものを融合させていこうと、、

 

でも海外の選手達もそうだったと思います、当時世界チャンピオンだったドニー・バーンズはじめ

 

皆もっとMan&Womanに、もっとラテンで、個性を際立たせないとって

 

だから自分達も本物にならないとあの世界には入って行けないんだ、、、その思いが強かったですね

 

勝つための踊りって面白くないんです。

 

惹きつけられる踊りとか目が離せない踊りとか、そこに相当な物が隠されている、、

 

だからまたウォーリーに習いたいとか、ベーシックだけで一日終わってもまたエスパンに習いたいとか

 

若かったけどそれに惹きつけられたました。

 

今はYoutubeとか簡単に情報が入り易くなっているから、逆に芯の部分と言うか、コアのところ

 

そういうところが見えづらくなっているかも知れないですね。

テクニックで開放されるー

 

指導する立場になって、男と女が二人で踊るということの大切なもの、テクニックと言ってしまうとまたかって

 

思われるかも知れませんけど、そこにフィーリングはあるんです。

 

二人で踊るための、融合するための大切な物、、

 

本当に身についてみると、もっと踊れるって言うのがしょっちゅうあったんです。

 

自分達が出来る様になったと思ってコーチャーに見せて、どう?って聞いたら『Too technical』って言われて

 

えっ~テクニックを教えたのはあなたなんですけどってここまで出かかって、じゃどうすればいい?

 

『Automatic!』

 

出来るか!って思ったんですが(笑)

 

でも今はよくわかる。

 

出来るようになるとこんなに自由なんだな、と言うのがしょちゅうあったから

 

本当にテクニックになってなかったんだな、身についてなかったんだと思いました。

 

それでどんどん踊りやすくなってくる、テクニックに縛られるのではなくてテクニックによって

 

開放されるという経験はすごくありましたね。

 

ー最近の流行なのか競技ダンスの世界でもウェイトトレーニングを取り入れているという話を聞きますが

 

最近の流行なんでしょう。

 

圧倒的にシャドウする時間が減ってるっていう気がします。

 

男の子でも女の子でもやっぱり靴を履いてフロアーに立っている時間が長い人が上達する

 

それは単純な話のはずなのに、それが減っていってるって言うのはちょっと違うとは思いますけど

 

ダンス用のレーニングの方法が分かってそれが確立されている人ならやってもいいと思います。

 

ただ闇雲に体の形を作っていくというのは良いことではないと思います、

 

若いからやっぱりエネルギーが有り余っているからそういうところに走っちゃうでしょうけど(笑)

 

勿論ダンスやるならナルシストにならないと,カッコイイ方が良いに決まってるし、自分がかっこいいと思えたら

 

満足感もあるし、だけどそれで体が硬くなって踊れなくなってしまうと、、、本末転倒ですよね

 

そこがちょっ問題かな、とは思います。

 

じゃあ体が柔らかけれ良いよいのか?いい踊りが出来るのか?というとそれだけではダメじゃないかと言う

 

疑問も出てくると思います。

 

ースポーツ界全体の傾向とは思いますが体幹トレーニングと言うWordがよく出てきますね

 

 

インナーマッスルを鍛える、内側の事をやっていくと言うのは悪い事ではないと思います。

 

踊って鍛えられていく筋肉が一番いいと思うし使い方で鍛えられてくと言うか、間違った使い方をしてたら

 

まずいけど自然な体の使い方をしていればやっぱり踊れるようにはなると思います。

 

(体感トレーニングが)必要な所もあるかも知れないけどそれも踊っているうちに分かってくる気します。

 

ーダンス界でも中国勢の台頭は目覚しい物があります、どのような印象をお持ちですか?

 

う~ん、体は非常にストロングだと思います。

 

もしかしたら、日本の選手達ががうわべだけまねしてそこに走るようになったから

 

そう見えるのかもしれませんが、、

 

以前は日本人選手の良さは勤勉さと言われましたけど、皆一生懸命やっていると思うのですが

 

今はそこまでディープな物にトライして学ぼうという気は薄くなっている気がします。

 

大陸の人達の方が民族的に体も強いと思いますし、今まで何で日本人が勝てたかというと

 

踊りの深いところを見ようとしてたとか、それで先にやってたから勝てた、でもそれがなくなって

 

今はあんまり貪欲と言う感じがしませんね。

 

 

形で終ってしまっている、と言う感じがします。

 

しかもチャイニーズでもコリアでも南アジアでもそれぞれに特徴的な要素をもともと持っていて

 

彼らは精鋭しか(国際試合に)送ってこないからより強く感じます。

 

スポンサーがつかないと海外に出て行けないから、そういう意味では甘くはないんです。

 

非常にハングリーです。

 

日本人はそのハングリーでなくなった分、自信もなくなってきてるんだと思います。

 

やっぱり残れないと言う時期を続けてるのでそういう環境になっている。

 

それは選手達にとってもあんまりよくない環境ですね

 

僕達は行けば、頑張れがなんとかなる、そう遠くない過去に決勝に残ったとか、Ballroomだったら当時は

 

ファイナルクラスに残れる日本人選手が三組くらい居たので、世界が近かったんです。

 

もう少しいけば、触ればなんとかなる、手が届く事が出来る!

 

そういう状況が何処かに自信めいたものをもたせてくれた環境だったような気はします。

 

(当時の)日本の国力と言うか、雰囲気も含めてですけど。

 

今の人達も真剣だけど、その真剣さがちょっとだけ違う、多分自分達は迷いがなかったんだと思います。

 

僕達は競技をやる上でここで上がればいいんだそこだけ一本目指して、A級になったら海外に行くんだ

 

海外に行ったら、外国人の中で勝ち上がれるように一生懸命努力する。

 

その一本の気持ちしかなかったですね。

 

まとまることが必ずしもいいことばかりではないですが、今ある国際試合UKとか世界選手権とか

 

そこを目指して(選手が)行くって言うなら、(我々が)一丸となって力を注いでいく、いいコンペをして

 

日本の選手を育てて、自信を持たせたい、そこからくるメンタルがやっぱり大きいので、、、

 

そう明彦ともやってきました。

 

今、三団体の選手が動いて統一選手会を作ろうとしているので、選手自身が動くのなら

 

もう誰も文句は言えません。

今回アジアオープンで三団体の選手が出場できて、こんなに大きな大会にする事が出来ました。

 

後は我々がどれくらい、いいサポートが出来るかっていう流れにはなってきていると思います。

世界にふれるー

やっぱりかっこいいからなのか一時期から現役選手をばかりを日本に呼ぶようになってきたんです。

 

それがダメだと言う気はありませんが、僕達の時代は、レアードを呼んだりエスパンを呼んだりしてました。

 

僕自身が師事していたって言うこともありますけど。

 

それ以外に団体がシカモアを呼んでくれたりして世界のコーチ陣と出会えるチャンスが多くありました。

 

現役はかっこいいですが、自分自身が競技者なので、どうして教える事は手薄になるような気がします。

 

コーチ陣を呼ばなくなって、日本人を応援してくれる人少なくなってしまった。

 

コーチはいつも世界中の優れた選手に触れています。

 

今回アジアオープンで海外の審査員から話をする機会がありましたが、すごく中国に呼ばれているんですね

 

国を挙げて選手を応援しているんですね。

 

そういう意味ではコーチと知り合える機会にキャンプというのはとてもいいチャンスだと思います。

 

Ralfが沖縄でキャンプをしたいと相談があって、コーチにEspan,Lepehne,Slavik,大竹、二ツ森、嶺岸、僕と

 

やることになりました。

 

キャンプのいいところは普段コンタクト出来ないいろんなコーチに学べるところ、一度レクチャーを受けてみて、

 

良ければ継続して受ければいいし、またコーチ陣がチームになって選手を見れるってところですかね

 

今、近い夢は仲間と一緒にダンス界を盛り上げて行きたい、盛り上げていって

 

今の選手達の成長する場を作ってあげたい、自分達がふれている選手達には大切だと思うことを

少しでも多く伝えて行きたいです。

 

まだ海外にうっとりするようなダンスを体現する人達がいるので、そういう人達と出来るだけ交流して

 

日本が良くなる橋渡しになりたいと思いますし、それがダンスの本質を皆で理解する事にもなると思います。

 

自分達は自分達でまだ学びたい事があります。

 

吸収出来る事もあると思います、今は毎日出来ないですが

 

毎日する気もないんですが(笑)、全然踊ること、学ぶ事には飽きないです。

 

ーラテンダンスにおける理想の男性像と言うのはご自分の中にあるのですか?ー

 

現役の時だったら、リードは上手い、踊りも上手い、かっこもいい、個性で言ったら何かあるセクシーもある

 

完璧な男って思ったかもしれませんが、今はあんまり思いません。

 

理想はあんまり、素でいいって感じでしょうか?、、

 

ーそれはもう達成したから、と言うことですか?-

 

作っても出ないから、作らないと言う事です(笑)

 

やっぱりいろんな事を経験しなきゃいけないし、いろんな事を見なきゃいけないし、感じなくちゃいけない、でも

 

正直に感じていかなきゃいけない、素でやっていくから(見てる人に)かえって響く、、作るとなんか変だなって、

 

思います、何でしょうか?上手くいえないのですが

 

『Are you feel?』っていつも追い込まれていたからでしょうかね?(笑)

 

これからまだまだ経験を積んでそれを皆に伝える事も出来ると思いますし、今はまだ道の途中だと思います。

 

それがどんな夢になっていくか、、僕自身も楽しみです。

 

 

世界的なビックコンペを終えたばかりで明後日には韓国に飛ぶ、という忙しい日程の中

楠 潤一郎・新JDC会長にお話を伺うことが出来た。

キューバで生まれ、イギリスで体系化されたインターナショナルラテンアメリカンダンスが日本人に愛され

日本に根づき、多くの競技人口を抱えるに至った。

しかし時代の変革の波は、競技ダンスの世界にも着実に訪れているのだろう、、、

開拓者達の挑戦はまだ始まったばかりだ。

 

 

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