Cuba~ラテンの旅Ⅲ
佐藤さんの包み込むようなダンスは私にとってはすごい発見だったんですね。
それを見たのは’99年の全日本二連覇の時、この人達がチャンピオンなんだなと
思って、そのあと佐藤組とキューバに行って、帰ってきてから正直踊っている時
佐藤さんの方を見るようになったんですね。
彼は女性の方を見ているんですよね、踊っている間ずっと、、
ただルンバのルーティンの何処かで、そこだけ見ない所があったんです。
ここに手があるはずだっていうリードをして、そこに彼女の手がくるというのがあったんですがその時にはっとするんですよね、佐藤さんが女性から目線を外すので
なのにそこにコネクションが確実にあるっていう、、
彼らが意図してそういうルーティンを作ったのか分からないんですけど、
それこそセクシーだなって思ったんですね。
今、けっこう男女が普通に別々に踊って、男性がリードはするんですが
ここは俺の見せ場みたいなのをするじゃないですか、そういうのではなく
わざとやらないから、すごくさりげない視線をぱっと外したから、あっ目線が外されたと思った時に、ぱっとそこにコネクションが、女性の手が思っていた所に来るっていう
それが佐藤さんの優しさであり、包容力で、彼のダンスは女性を大切にしています。
そういったラテンの本質をお持ちだったんですね。
そのイギリス人から来た、男は男らしく云々じゃないところを感じてた、、
そういうダンスは他の男性からその後見ないですね。
競技ダンスにおいて男性という解釈が
どうだどうだマッチョだろ!と言うのが南米では全然違うなと思ったんですね。
男らしいというのは優しいこと?その女性に楽しい時間を与えてあげられること
この時間は、このダンスはあなたと楽しい時間を過ごしましょう、と女性を尊重する、尊重という言葉もないくらいな自然にそなわった優しさを持っている。
だから女性が来た時に、この人と波長が合うとか、その人が綺麗とかそういう理由ではなく、優しさを持って、ダンスを踊るこの楽しい時間を作ってあげよう、というのを
女性は感じるように見えたんです。
佐藤さんがラテン人じゃないのにダンスを提供する立場になるというのは
並大抵のことじぁないと思ったんです。
それをあの一週間かそこらで、多分佐藤さんならどの女性でも
例えば中国人を連れてきて山で踊ってもキューバ人と海で踊っても
あの優しい目と優しい手のリードがあったらどの国の人でも
踊らせられると思うんですよ。
そして曲が終わったら女性をいい気持ちにさせて
楽しかったと思わせられる人だったと思うんです。
その後競技会の解説にきて頂いた時に、多分ChaChaChaだったと思うんですが
とにかくメリハリの利いた早い曲を踊っていたカップルに、批判したわけじゃないん
ですけどボソッと「僕はもうちょっと優しいのが見たいな」と言ったんですね。
それは本当に批判や解説ではなくてつぶやきでした。
本当に心から出てきた「僕のダンスと言うのはこういう風に女性を扱うものじゃなくて早くても相手に対して優しさと言うか包容力と言うのがあるんだよ」と
言っていたのかなと思いますね。
多くの意味でそれが視聴者に届いていないと思うんですよ、身体のという意味では
よく動いていたら良いじゃないの、優しさって何?と思われると思うんです、
そこが横で製作者として聞いていると歯がゆいところでした。
以下続く